研ぎ:包丁 調理用具

包丁の柄交換

柄交換

柄が腐れてしまって交換することはよくあります。その場合、新しい柄はウチで用意します。ところが、装着されている柄が全く損傷していないのに交換する。新しい柄は、お客さんが自身が持ち込んで来ることがあります。

そういう場合、持ち込まれるは、たいてい今回の写真のような高価な素材で技巧を凝らしたものです。黒檀がただでさえ重いのに、銀があしらってあり、柄尻にも水牛の角が仕込んであります。結果、もともとの朴柄の倍以上の重量になっていました。

真新しい柄を破壊するのもどうかと思うのですが、こんなに重いのを挿げて使い勝手はどうなるのかと心配になります。お客さんにその点をお話しすると、何本もあるので、この1本だけやってみてほしい、とのことでした。

朴柄に挿げる場合、柔らかいので単純に叩き込んでしまえば、それで終わりです。釘が固定される要領で固定されます。一方、黒檀の様に固い素材で作られた柄に挿げる場合は、接着剤を使って固定します。だから、挿げ穴は、大きめに開けられていないといけません。無理に叩き込むと柄が割れてしまいます。

今回の柄は、挿げ穴がやや狭かった上に、あろうことか、深さが包丁のナカゴの長さより約1㎝浅かったのです。長いドリルで穴を掘り直し、ノミや引き回し鋸で広げました。

朴柄は、軽いし手になじみやすいので、包丁の柄の素材として選ばれたのでしょう。しかし、黒檀をはじめとする唐木よりはるかに劣化しやすいです。そして、刀身が消耗しつくす前に壊れる可能性が高いです。でもその頃には刀身は、研ぎ減らされて短くなっているはずです。バランスの問題で、新しいサイズの柄に替えなければならないのです。

だから、朴柄の利点は、「軽い」「手なじみが良い」プラス「替えやすい」の3拍子となります。

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