真っ黒に錆びていますが、花鋏がこれぐらい錆びているのはよくあることです。問題は、写真ではよく見えませんが、切っ先が閉じないことでした。
よく点検してみると、カシメが劣化してぐにゃぐにゃに曲がっていました。これによりずれが生じて切っ先が閉じ切らなくなっていたのでした。
カシメを外し、変形しまくっている穴を整えて、新しいカシメに交換しました。
機能だけなら、買い替えればよいとなりますが、「母から受け継いだ」とか「お嫁に来た時に持ってきた」とか来歴を愛おしがるなどして、ここまで直すよう依頼されます。
この花鋏は、鉄味というか、錆の趣がなかなか良くて、そういうところもご依頼主は気に入っていたのかもしれません。
(2020年5月)