ウチの系統では、柄をきれいにしてから研ぎに入ります。
作業は大仰なものではなく、ごしごし擦るという程度のものです。
ラベルなんかは、細菌繁殖の温床になるので、剥がします。しつこ
い汚れは砥石の小割や磨き粉で擦ってゆけば削られるような感じ
で汚れが落ちてゆきます。
当店は、土地柄なのか、柄の状態の良い場合がほとんどなので、洗
うということも無く研ぎにかかりますが、たまに写真のような「風格」のあるものがやってきます。
「師匠の小噺」
おばあさんから和包丁を預かって、真っ黒になっていた柄もすっか
りきれいにして研ぎ上げた。お返しする際になって
「これは、違う。私の包丁じゃないわよ。」と言われてしまった。
間違いなく奥さんのですよ、と言うと
「私の包丁は柄が黒檀だったのよ。だからこれじゃない。」と。
お後がよろしいようで・・・。
(2020 年 6 月)